【システム担当者必見】消費税改正法案のポイントまとめ

2014年4月1日の施行日まで1年を切った消費税改正。今回の記事では、消費税法改正増税に関するポイントをまとめました。
当記事は、2013年5月時点の情報に基づいています。

  1. 消費税法改正のポイント
    1. 変更スケジュール
    2. 使途の明確化
    3. 経過措置
    4. 事業耆免税点制度の改正
    5. 中間申告制度の改正
  2. 改正に関連して残された課題
    1. 軽減税率の導入間題
    2. 価格転嫁問題
  3. 業務・システムでの対応
    1. 業務の対応
    2. システムの対応
    3. 経過措置の対応
  1. 消費税法改正のポイント

    今回、消費税率の変更は2回に分けて実施されます。消費税収入の使途が明確化された他、消費税率変更時の「経過措置」が定められました。

    1. 変更スケジュール

      消費税率は、2014年4月1日に8%、2015年10月1日に10%と、2段階で引き上げられます。

      ただし、2013年5月時点では決定しておらず、経済状況を勘案した上で引き上げ停止を含め措置を講ずるとされており、その判断は2013年秋に行われる予定になっています。

      3月~4月にかけて安倍総理の国会答弁では、景気の状況を見ながら判断する旨の答弁をしており、慎重な姿勢も見せています。

    2. 使途の明確化

      改正消費税法第1条第2項において、消費税の収入については、社会保障関連の経費にあてることが明確化されました。

      • 制度として確立された年金
      • 医療の社会保障給付
      • 介護の社会保障給付
      • 少子化に対処するための施策
      • 地方交付税法の定めるところによる都道府県及び市町村への交付税
    3. 経過措置

      消費税がかかるのは、原則として商品を引き渡すときに発生し、その時の消費税率が適用されます。この原則を徹底すると、問題が起こることがあります。そのような問題に対処するため、経過措置が定められています。

      これらの経過措置は、施行目(2014年4月1日)前後の消費税率について特例的な扱いを定めたものです。

      例えば、電車などの定期券を購入した場合、2014年3月に購入する定期券の消費税率は何パーセントでしょうか。

      本来であれば、3月31日以前に乗車する分は5%、4月1日以降に乗車する分は8%とすべきですが、実際には計算が複雑になってしまい大変です。そのため、経過措置が定められ、3月31日以前に支払っている分については、5%となります。

      経過措置が定められるにあたり、2つの日付が重要となりますので憶えておきましょう。

      • 施行日:2014(平成26)年4月1日
      • 指定日:2013(平成25)年10月1日

      2015年10月1日に8%から10%に引き上げられるときも、同様の取扱いとなります。
      主な経過措置は、以下のようなものです。

      • 旅客運賃等
        施行日以後に行う旅客運送の対価や映画・演劇を催す場所、競馬場、競輪場、美術館、遊園地等への入場料等のうち、施行日前に領収している場合は、旧税率が適用されます。
      • 電気料金等
        継続供給契約に基づき、施行日前から継続して供給している電気、ガス、水道、電話に係る料金等で、施行日から2014(平成26)年4月30日までの間に料金の支払いを受ける権利が確定する場合は、旧税率が適用されます。
      • 請負工事等
        平成8年10月1日から平成25年10月1日(指定日)の前日までの間に締結した工事に係る請負契約に基づき、施行日以後に課税資産の譲渡を行う場含には、旧税率が適用されます。
      • 資産の貸付け
        平成8年10月1日から指定日の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、施行日前から施行日以後引き続き貸付けを行っている場合で、一定の要件を満たす場合には旧税率が適用されます。
      • 指定役務の提供
        平成8年10月1目から指定目の前日までの間に締結した役務の提供に係る契約に基づき、施行日以後に役務の提供を行う場合において、一定の要件を満たす場合には旧税率が適用されます。
      • 予約販売に係る書籍等
        指定日前に締結した不特定多数の者に対する定期継続供給契約に基づき譲渡される書籍その他物品に係る対価を施行日前に領収している場合で、その譲渡が施行日以後に行われる場合には旧税率が適用されます。
      • 特定新聞等
        不特定多数の者に週、月その他の一定の期間を周期として定期的に発行される新聞又は雑誌で、発行者が指定する発売目が施行日前であるもののうち、その譲渡が施行日以後である場合には旧税率が適用されます。
      • 通信販売
        通信販売の方法により商品を販売する事業者が、指定日前にその販売価格などの条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、施行日前に申込みを受け、提示した条件に従って施行日以後に行われる商品の販売の場合には旧税率が適用されます。
      • 有料老人ホーム
        平戌8年10月1日から指定日の前日までの間に締結した有料老人ホームに係る終身入居契約(一定の要件を満たすものに限る)に基づき、施行日前から同日以後引き続き介護に係る役務提供を行っている場合における、施行日以後に行われる入居一時金に対応する役務の提供の場合には、旧税率が適用されます。
      • 長期割賦販売等
        施行日前に行った長期割賦販売等に係る賦払金の額で施行日以後その支払期日が到来するものは旧税率が適用されます。
      • 長期工事等の請負等
        指定日から施行日までの間に締結した長期大規模工事等の請負に係る契約に基づき、施行日以後に目的物の引渡しを行う場合において、工事進行基準の適用により計算した金額に係る部分の課税資産の譲渡の場合には、旧税率が適用されます。

    4. 事業者免税点制度の改正

      子会社を繰り返し設立することにより、納税義務の免除が悪用されるのを防ぐため、大企業の子会社は対象外となるよう改正されます。

      ~改正前~
      基準期間がない事業年度開始の日における資本金の額(出資の金額)が1000万円未満の法人(新規設立法人)は、その基準期間がない事業年度の消費税の納税義務が免除されます。

      ~改正後~
      新規設立法人のうち、次の1及び2のいずれにも該当する法人(特定新規設立法人)については、その基準期間がない事業年度の納税義務が免除されません。

      1. 他の者によりその新規設立法人が支配される一定の要件に該当する。
        例えば、他の者により発行済株式の50%超を保有される場合など。
      2. 1の他の者及びその特殊関係法人のうちいずれかについて、上記基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円超である。

      上記の規定は、施行日以後に設立される新規設立法人で、特定新規設立法人に該当するものに適用されます。

    5. 中間申告制度の改正

      ~改正前~
      直前の課税期間の年税額が48万円(地方消費税額を含まない年税額)以下の事業者は、消費税の中間申告義務はありません。

      ~改正後~
      直前の課税期間の年税額が48万円(地方消費税を含まない年税額)以下の事業者であっても、任意に中間申告書を提出する旨を記載した届出書を所轄税務署に提出した場合には、中間申告をすることができます。この規定は、2014(平成26)年4月1目以後開始する課税期間から適用されます。

  2. 改正に関連して残された課題

    消費税改正にあたり、全ての問題が解決したわけではありません。低所得者や住宅購入時のような個人に対する問題は残っています。

    法人に関しても、軽減税率導入や適正な価格転嫁の確保など、課題が残されています。

    1. 軽減税率の導入

      軽減税率とは、食料品などの生活必需品に関しては、税率を低くすることにより、消費者の負担を減らす措置のことです。

      結局、8%へ引上げる際の導入は見送られましたが、10%へ引上げる際には引き続き検討されることになっています。

      しかし、軽減税率にはさまざまな課題があり、それらをどのように解消するのかが鍵になります。

      • どの品目を対象にするか。
      • 軽減税率を何パーセントにするか、減収分をどのように補うか。
      • 企業は、品目によって税率を分けて管理する必要があり、業務への影響が大きい。基幹システムを導入している場合、多大なシステム投資が必要になる可能性がある。
    2. 適正な価格転嫁

      平成9年に消費税率が3%から5%へ引き上げられた際、大手スーパーなどでセールと称して、販売価格に増税分を加算せず据え置くことがありました。結果、仕入れ業者に値引きの形でしわ寄せがいく問題が起こりました。

      こういった問題を防ぐため、消費税を適正に販売価格へ転嫁できるよう、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」が国会に提出されています。

      当初は「消費税増税時のセールを禁止する」といった報道も見受けられましたが、平成25年5月には、「消費税」の文言を含まない(消費税との関連を示す文言を含まない)セールは容認するといった政府の統一見解が示されたと各メディアで報道されました。

      消費税転嫁法案の方針

      法案成立後、消費者庁が具体的な指針を作成して公表する予定となっています。

  3. 業務・システムでの対応

    1. 業務の対応ポイント

      まず、自社の業務に関わる経過措置について、充分な理解が必要です。また、複数の税率を管理する業務フローや、システム対応ができているかどうか、事前に確認しておきましょう。

    2. システムの対応ポイント

      下記のような点がポイントとなります。

      • 税率の管理
        自社の販売・財務システムが、期間によって税率を管理できるかどうか、確認しておきましょう。古いシステムの場合、対応できない可能性もありますので、注意が必要です。
      • 販売管理
        施行日は4月1日ですので、月末締以外の処理は、同一月度で税率を分けて管理する必要があります。

        例えば、20日締で請求を行なう場合、3月20日締分は全て5%で計上できますが、4月20日締分は、3月31日までを5%、4月1日から20日までを8%で計上しなくてはなりません。仕入れについても、同様です。

        ただし、経過措置の対象となる場合は、この限りではありません。さらに長期に渡って、複数税率の管理をしなくてはなりません。

        また、返品・値引きについては、売上(仕入)が計上されたのが、施行日より前であれば5%、施行日以後であれば8%となる点も注意が必要です。

      • 軽減税率
        今後の検討により、軽減税率が導入されることになった場合、さらに複雑になります。日常的に複数の税率を管理するシステムが必要となります。

        恐らく、国内で稼動している多くのシステムは、軽減税率には対応しきれないので、なんらかのシステム投資が必要になるでしょう。

        8%への引き上げ時では導入されませんが、10%へ引き上げ時で導入するかどうか、「引き続き検討する」ということですので、システム担当者の方は動向をチェックしておいた方がよいでしょう。

    3. 経過措置の対応ポイント

      さまざまな経過措置がありますので、自社の業務に合わせた確認が必要です。特に、金額の大きい案件や期間が長い案件は、経過措置の有無を確認し、契約内容の検討が必要です。

      下記のような点がポイントとなります。

      • 指定日前に締結された契約か?
      • 施行日以後に納品されているか?

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