転嫁対策特別措置法のポイントまとめ

2013年6月、「転嫁対策特別措置法」が成立しました。今回の記事では、転嫁対策特別措置法が施行されるにあたり、事業者が注意するべきポイントをまとめました。

正式名称は、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」といいます。

  1. 転嫁拒否の禁止
  2. セールなどの禁止
  3. 総額表示の緩和
  4. 転嫁カルテルと表示カルテル
  5. 国の責任を明確化
  1. 転嫁拒否の禁止

    消費税の適正な転嫁を確保するため、「特定事業者」による「特定供給事業者」に対する消費税の転嫁拒否などの行為を禁止しています。

    簡単に言うと、小売事業者からメーカーに対して、無理な要求をさせないためのものです。下記の4つが該当します。

    • 減額または買いたたき
      消費税引き上げ分を本体価格から値引きさせることは禁止されます。
    • 購入規制もしくは役務の利用強制、または不当な利益提供強制
      消費税引き上げに伴い、何らかの見返りを要求することは禁止されます。
    • 税抜き価格での交渉の拒否
      税抜き価格での見積もりを拒否することは禁止されます。
    • 報復行為
      違反行為の通報を理由に取引を停止するなど、報復行為は禁止されます。

    具体的な禁止例については、今後政府から公表される予定のガイドラインで確認していく必要があります。

    小売店において転嫁拒否などの行為があった場合、取り締まりの対象となります。悪質な違反に対しては、公正取引委員会より「指導・助言」や「勧告・公表」が行われます。

    万一、転嫁拒否などの行為を受けた場合は、専門の相談窓口に連絡することができます。

    • 商工会議所「消費税転嫁対策相談窓口」
       こちらから
    • 公正取引委員会事務総局 取引部
       こちらから 電話番号:03-3581-3379
    • 中小企業取引ホットライン
       こちらから 電話番号:03-3501-7061
    • 下請かけこみ寺
       こちらから 電話番号:0120-418-618
  2. セールなどの禁止

    転嫁対策特別措置法では、「消費税還元セール」など、消費税引き上げと関連付けたような宣伝・広告は、取り締まり対象となります。

    2014年4月1日以後に供給する商品または役務について、次の表示が禁止されます。

    1. 取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示。「消費税は転嫁しません」「消費税は当店が負担しています」など。
    2. 取引の相手方が負担すべき消費税を対価の額から減ずる旨の表示であって、消費税との関連を明示しているもの。「消費税率上昇分値引きします。」など。
    3. 消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって、2.の表示に準ずるものとして内閣府令で定めるもの。「消費税相当分、次回の購入に利用できるポイントを付与します」など。

    では、「消費税」という言葉を使わなければ良いのかというと、そうでもありません。宣伝・広告の表示全体から消費税を意味することが客観的に明らかでなければ、禁止される表示にあたらないとされています。詳細については、政府から公表される予定のガイドラインで確認しましょう。

    万一、違法な宣伝・広告を行った場合、取り締まりの対象となります。悪質な違反に対しては、公正取引委員会より「指導・助言」や「勧告・公表」が行われます。

  3. 総額表示の緩和

    総額表示義務が緩和されます。このため、「外税表示」「税抜き価格の強調表示」が期間限定で認められるようになります。

    総額表示とは、事業者(免税事業者を除く)が一般消費者に対して、値札やチラシなどによって商品やサービス等の価格をあらかじめ表示する場合、消費税額を含めた支払総額を表示することをいいます。2004年4月1日から、総額表示が義務付けられました。

    これは、税抜価格表示だと最終的な支払金額が分かりにくいこと、また、同一の商品やサービスであっても各事業者間で表示方法が異なれば、価格の比較がしづらいなどを考慮し、最終的な支払額が一目で判断できるように定められたものです。

    この総額表示義務に対して、以下の特例が時限的に認められます。

    1. 「外税表示」が認められます。
      税込価格でなく、「外税表示」が認められます。ただし、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じている」ことが前提となります。

      つまり、税抜価格を税込価格だと思わないよう、但し書きが必要だということです。例えば、「1000円(税抜き)」「1000円+税」「1000円+80円(税)」のように、税抜き価格であることを明示する必要があります。あるいは、「価格は全て税抜き価格です。レジにて別途消費税を申し受けます」のように、目につきやすい場所に提示しなくてはなりません。

    2. 「税抜き価格の強調表示」が認められます。
      税込価格と併せて「税抜き価格」または「税額」を表示することができます。また、税込価格が表示されていれば、税抜き価格を強調して表示することができます。例えば「1000円(税込1080円)」のような表示が可能です。

    詳細については、今後公表されるガイドラインなどで確認しましょう。

  4. 転嫁カルテルと表示カルテル

    中小企業が共同で価格転嫁(転嫁カルテル)したり、表示方法を統一する(表示カルテル)が認められます。これにより、業界団体や組合などで、転嫁方法や表示方法を統一することができます。ただし、事前に公正取引委員会へ届け出が必要です。また、2014年4月1日から2017年3月31日までの期間限定となります。

    本来、独占禁止法により「カルテル(事業者が商品の価格を共同で取り決め、競争を制限すること)」を禁止しています。これに対し例外として、「転嫁カルテル(消費税の転嫁方法の決定に係る共同行為)」「表示カルテル(消費税についての表示方法の決定に係る共同行為)」が認められます。

    転嫁カルテルの例として、

    • 事業者がそれぞれ自主的に定めている本体価格に消費税額分を上乗せする旨の決定
    • 消費税額分上乗せした結果、計算上生じる端数を切上げ、切捨て、四捨五入などにより、合理的な範囲で処理することの決定

    などが挙げられます。ただし転嫁カルテルは、参加事業者の3分の2以上が中小事業者であることが必要です。また、本体価格に関する取り決めは、転嫁カルテルに該当しません。

    表示カルテルの例として、

    • 消費税引き上げ後の価格について、統一的な表示方法を用いること

    などが挙げられます。

    詳細については、今後公表されるガイドラインなどで確認しましょう。

  5. 国の責任を明確化

    国民への広報、違反に対する通報者保護、体制の整備は、政府が責任を持って行います。
    以下の3つが転嫁対策特別措置法に明記されています。

    1. 国民に対する広報の徹底
      国は、事業者が行う消費税の円滑かつ適正な転嫁に資するよう、国民に対し、次の点について広報を徹底する。

      • 今般の消費税率引き上げの趣旨
      • 転嫁を通じて消費者に負担を求めるという消費税の性格
      • 政府の消費税の円滑かつ適正な転嫁に関する取り組み
    2. 通報した者の保護などに関する万全の措置
      国は、転嫁対策特別措置法に違反する行為の防止および是正を徹底するため、次の点について万全の措置を講ずる。

      • 違反行為に関する情報の収集
      • 情報の通報者の保護など
    3. 調査、監視を行うための万全な態勢の整備
      国および都道府県は、転嫁対策特別措置法に違反する行為の防止および是正を徹底するため、次の点を行うための万全の態勢を整備する。

      • 国民に対する広報
      • 違反行為に関する情報の収集
      • 事業者に対する指導または助言など

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